快適で生産性の高いオフィス環境をつくるうえで、空調設備を整えるのは欠かせないことです。特にエアコンは、従業員の働きやすさだけでなく、エネルギー消費や維持管理コストにも大きく影響します。
今回の記事では、オフィス用エアコンを選ぶ際のポイントや注意点を解説し、おすすめ製品もあわせて紹介します。
オフィスの移転や新設、既存設備の入れ替えを検討されている企業のご担当者様はぜひご覧ください。
オフィスにおける温度管理の重要性
オフィスの温度管理は、従業員の働きやすさに加え、組織全体の生産性や健康管理に直結する重要な要素です。適切な温度が保たれていない環境では、集中力の低下や作業効率の悪化につながり、長時間続けば体調不良の原因にもなりかねません。特に夏場の高温や冬場の低温はストレスを増幅させ、ミスの発生率を高めることにもつながります。
また、室内で温度ムラが生じると席によって快適性が異なり、不満を抱く従業員も出てくるでしょう。適切な空調管理は快適なオフィスづくりの基盤であり、健康で効率的に働ける環境を整えるための欠かせない取り組みです。
オフィスに設置されるエアコンの種類

オフィスに設置するエアコン設備は、規模やレイアウトに応じて適切なものを選ぶ必要があります。
ここでは代表的なエアコンの種類とその特徴をご紹介します。
天井カセット形
天井に埋め込むタイプの天井カセット形エアコンは、インテリアのデザイン性を損なわずに設置でき、オフィスで代表的に使われる空調設備です。4方向・2方向など複数の吹き出し口があり、広い執務スペースでも風が偏りにくく、フロア全体の温度を均一に保ちやすい点が大きな特徴です。天井が高いオフィスや、ミーティングルームと執務エリアが一体化した空間などでも、快適な環境を実現しやすい構造になっています。
風向きや風量を細かく調整できる機種が多く、席によって「暑い」「寒い」といった温度ムラが発生しにくいのもメリットです。天井面に収まるためインテリアに調和しやすく、来客対応のあるエントランスや会議室にも適しています。一方で、設置には天井構造の確認や特殊な施工が必要となるため、他のタイプに比べて初期費用が高くなりやすい点には留意が必要です。
壁掛型
一般的な家庭で用いられている壁掛型エアコンは、手軽に導入できる点が大きな魅力で、オフィスでも採用されることが多いです。設置コストを抑えやすく、工事期間も短いため、移転時や新規開設時に迅速に導入したい場合に適しています。限られたスペースにも設置しやすく、小規模オフィスや個室の会議室など、比較的狭い空間に向いています。
一方で、広いフロア全体の温度管理をするのには不向きで、空間によって温度差が生まれやすい点は課題です。ただ、サーキュレーターや補助的な空調設備を併用することで温度ムラを抑えることもできます。また、壁面に室内機が露出するためデザイン面での配慮も必要で、オフィスの雰囲気に合わせた配置や、インテリアの工夫によって目立ちにくくするなどの対応が求められる場合もあります。
天井吊型
天井裏にスペースを確保できないオフィスや、配管経路の制約がある空間でも設置しやすい点が大きな特徴の天井吊型エアコン。天井から直接吊り下げる構造のため、広いフロアでも風を届かせやすく、開放的なレイアウトのオフィスにも向いています。
壁掛型と比べて冷暖房能力が高く、天井が高い執務エリアや、人の出入りが多いエントランスホールなどにも適しています。設置位置の自由度が高いため、デスク配置や動線に合わせて効率良く空気を循環させやすい点もメリットです。一方で、設置コストはやや高くなる傾向にあります。広い空間を効率的に温度管理できるため、中規模以上のオフィスに向いています。
床置型
壁や天井に機器を設置しにくいオフィスに向いている床置型エアコン。床面に直接設置するため大がかりな工事が不要で、制約があるオフィスでも導入しやすい点が魅力です。低い位置から風を送る構造のため、特に冬場は暖房効果が高く、冷えやすい足元をしっかり暖めることができます。
一方で、床面の設置スペースを確保する必要があり、執務エリアの動線やデスク配置とのバランスを考慮することが重要です。また、オフィス向けの機器は大型なことも多く、視界に入りやすいため、雰囲気を損なわないデザイン選びや配置計画も欠かせません。
業務用エアコンの寿命・耐用年数

業務用エアコンの一般的な寿命は10〜15年程度とされています。ただし、使用環境やメンテナンス状況によって大きく前後するのが実際のところです。稼働時間が長いオフィスや、人の出入りが多い場所、粉じんが舞いやすい環境では部品の劣化が早まりやすく、寿命が短くなる傾向にあります。
エアコンの性能は経年とともに少しずつ低下し、冷暖房効率が落ちることで電力消費が増加するため、ランニングコストにも影響します。特に、熱交換器やフィルターの汚れ、コンプレッサーの摩耗などは性能低下の主な要因です。定期点検や部品交換を適切に行うことで寿命を延ばすことが可能であり、故障リスクの低減にもつながります。
快適なオフィス環境を維持するためには、耐用年数を目安に更新時期を検討しつつ、日常的なメンテナンスを行うことが重要です。
エアコンのメンテナンス方法
基本となるのはフィルター清掃です。フィルターにホコリが溜まると冷暖房効率が低下し、電力消費の増加や異臭の原因にもつながります。2週間に一度を目安に取り外して洗浄し、十分に乾燥させてから戻すようにしましょう。
また、室外機の周囲の掃除をすることも大切です。物が近くにあると吸排気が妨げられ、性能低下や故障のリスクが高まります。落ち葉やゴミが溜まっていないか定期的に確認し、周囲のスペースを確保しましょう。
年に1回程度、専門業者によるクリーニングを行うのが理想で、それにより機器本来の性能を維持でき、故障予防にもつながります。
オフィスのエアコンを選ぶ際のポイント・注意点

ここからは、オフィスのエアコンを選ぶ際のポイント・注意点を解説します。
冷暖房能力
エアコン選びでまず確認すべきなのが「冷暖房能力」です。能力が不足していると、夏場の高温や冬場の低温に対応できず、オフィス全体の快適性が損なわれる可能性があります。基本的に人の出入りが多い職場やOA機器の発熱が多い執務室では、一般的な住宅よりも高い能力が求められます。
また、天井が高いオフィスや窓面積が広いフロアは外気の影響を受けやすく、適切な機器が必要です。一方で、必要以上に大きな能力の機器を選ぶと電力効率が下がり、ランニングコストの増加につながる点には注意が必要です。そのため、フロア面積、席数、発熱機器の量などを踏まえた「適正能力」を見極めることが重要です。事前に専門業者に相談することでより確実な選定が可能になります。
温度の均一性
オフィスのエアコンを選ぶ際に、温度の均一性を意識するのも大切なことです。機器によっては、エアコンから離れた席や壁際などに冷気・暖気が届きにくくなります。特に天井が高いオフィスでは、暖房時に暖かい空気が上部に滞留し、足元が冷えやすくなるなど、空間特性による温度ムラが発生しやすくなります。
そのため、送風方向を細かく調整できるタイプや、温度ムラを防ぐ仕組みが搭載された設備(後で紹介するエコウィンHYBRIDなど)を選ぶのが理想です。複数のエアコンをゾーンごとに分散設置する方法も効果的で、席配置や動線と合わせて設計段階から検討することで、オフィス全体の快適性を高めることができます。
静音性
オフィスでは、エアコンの運転音が業務の集中力や会議での聞き取りやすさに影響するため、静音性も重要なポイントです。音が大きい機種を使用すると、執務空間の落ち着きが損なわれるだけでなく、通話やオンライン会議の妨げとなり、生産性低下につながることもあります。特に天井が低いオフィスや小規模な会議室では、機器の動作音が響きやすいため注意が必要です。
また、室外機の設置場所によっては、近隣のオフィスや周辺環境に騒音を与えてしまう可能性もあるため、配置場所の配慮も欠かせません。低騒音設計のエアコンを選ぶことに加え、振動を抑える設置方法や防音対策を行うことで、静かな環境を維持できます。
フィルターの目詰まりや内部の汚れは運転音増加の原因となるため、定期的な清掃・メンテナンスも静音性を保つための重要なポイントです。
省エネ性
省エネ性は、オフィスのランニングコスト削減と環境負荷の軽減のどちらにおいても非常に重要な要素です。特にオフィスでは長時間にわたりエアコンを運転することが多いため、わずかな消費電力の差でも年間の光熱費に大きく影響します。高効率機器・モデルであれば、必要な冷暖房能力に応じて出力を細かく調整でき、無駄なエネルギー消費を抑えながら快適な室内環境を維持できます。
また、人感センサーや日射センサーなどを搭載した機種であれば、在席人数や外気条件に応じて運転を自動で最適化でき、省エネ効果が高まります。電力使用量を抑える取り組みは、コスト削減だけでなく企業の社会的責任でもあるため、積極的な導入と運用が求められます。
その他
エアコンを選ぶ際は、性能だけでなく「デザイン性」や「メンテナンス性」といった実用面も重要なポイントになります。オフィスは来客対応や社員の働く場として印象が問われるため、空間に自然に溶け込むデザインかどうかは重要な要素の一つです。室内機が目立ちすぎるとオフィスの雰囲気を損なうことがあるため、内装に合わせた機種選びが求められます。
また、フィルター清掃や点検が容易な機種であれば日常的な管理がしやすく、カビ・ニオイの発生を防ぎながら衛生的な環境を維持できます。さらに、リモート操作が可能なモデルであれば、出社前の空調設定や退社後の電源管理が効率化され、省エネ運用にも寄与します。
近年では、AIが利用状況や外気温を学習し最適運転を行う高機能モデルも登場しています。空気清浄・加湿などの付加機能のある機種もあり、それらを選ぶことで、快適性を高めながら従業員の健康面のケアも可能になります。
オフィスにもおすすめの「エコウィンHYBRID」

オフィスで快適性と省エネ性の両立を目指すのであれば、輻射式冷暖房システム「エコウィンHYBRID」がおすすめです。遠赤外線の輻射熱を利用し壁や床、人体そのものを穏やかに暖め・冷やす仕組みのため、空気の流れによる不快感が少なく、落ち着いた執務環境をつくることができます。
既存のエアコンと組み合わせて使用するシステムで、エアコンを微風運転に設定するだけで室内の空気を効率良く循環させ、温度ムラの少ない快適な空間を保てます。体感温度は約2〜4℃変化するため、夏は設定温度を高めに、冬は低めにしても快適性を維持でき、省エネ運用にも大きく貢献します。
また、導入工事も比較的容易で、オフィスのレイアウトやデザインを崩すことなく設置できる点も特徴です。吹き抜けのある空間や広いワンフロアのオフィスなど、空調が効きにくい環境でも効果を発揮し、従業員の働きやすさ向上やランニングコスト削減に寄与します。
輻射式冷暖房の仕組み
「輻射(放射)」という熱の伝わり方を利用して室内を冷暖房する方式です。輻射とは、物質が発する熱が遠赤外線として空間を伝わる現象で、太陽の暖かさや薪ストーブのぬくもりと同じ仕組みです。対流や熱伝導のように空気や物質を介さず、温度の高いものから低いものへ直接熱が伝わるのが特徴です。
輻射式冷暖房では、冷水や温水を通した輻射パネルが室内に設置され、パネル表面の温度が室内の壁・床・天井に伝わり、それらが空気の温度へとじわじわ広がっていきます。
一般的なエアコンのように強い風で空気を冷やしたり暖めたりするのではなく、室内全体を均一な温度に近づけるように作用するため、温度ムラの少ない快適な環境が実現します。また、冷房時にはパネルが結露し、空気中の水分を取り除くことで自然な除湿も可能です。
製品情報
空間の広さやレイアウトに合わせて3つのタイプから選べます。
SCREEN(スクリーンタイプ)
高さ2,350mmの縦長デザインで、約24畳規模の空間に対応。カラーはホワイトとダークブロンズの2色で、デザインパネルやアルミフレームなどのオプションもあります。
WALL(ウォールタイプ)
高さ1,250mm・重量約30kgの壁掛けモデルで、約12畳向けのコンパクトなタイプです。小規模オフィスや会議室などに導入しやすく、色はホワイトとダークブロンズの2色。反射板を追加することで輻射効率を高めることもできます。
LOWBOY(ローボーイタイプ)
窓下や低い位置への設置に適したモデルで、Sサイズ(約12畳対応)とLサイズ(約20畳対応)の2種類があります。高さを抑えた設計によりレイアウトの自由度が高く、色はホワイト・ブラック・ステンレスの3色から選べ、デザイン性にも優れています。
導入事例
エコウィンHYBRIDは現在、様々な施設で採用されています。オフィスをはじめ、飲食店・カフェのような居心地が重視される空間から、役所や集会所などの公共施設、さらには保育園や介護施設といった長時間の滞在が前提となる場所まで、用途を問わず導入が広がっています。
また、体育館やホテルロビーなどの大規模空間でも、輻射式ならではの温度ムラの少ない快適環境を実現できることから、高天井や広いフロアでの空調に課題を抱える施設での活用も進んでいます。従来の空調機器だけでは均一な温度管理が難しい環境でも、安定した室内環境を保てる点が高く評価されています。
具体的な活用シーンや設置例を知りたい場合は、以下のページをご覧ください。
オフィスに設置するエアコンをお探しなら
オフィスにおける適切なエアコンの使用は、快適性・生産性・ランニングコストに直結する重要なことです。適切な冷暖房能力や温度ムラの少なさ、静音性、省エネ性能などを総合的に見極めることで、働きやすい空間を長期的に維持できます。また、機器のデザイン性やメンテナンス性などの実用面も、見逃せない部分です。
輻射式冷暖房システム「エコウィンHYBRID」のように、快適性と省エネ性を高いレベルで両立できる設備を導入すれば、理想的なオフィス環境を実現できるでしょう。本記事を参考に、自社のレイアウトや利用状況に合った空調設備を検討し、より快適で働きやすいオフィスを実現してみてください。