近年、夏の猛暑が常態化していることに加え、記録的な高温が続く日が増えています。広い空間や高い天井の倉庫は、外気温の影響を受けやすく夏は熱くなりやすく、冬は底冷えしやすい環境にあり、対策が求められる環境です。
働く従業員にとって快適で生産性の高い環境をつくるためだけでなく、倉庫で取り扱う製品にも影響することから、空調設備を整えることが重要です。エアコンは、従業員の働きやすさだけでなく、エネルギー消費や維持コストにも大きく影響します。
今回の記事では、倉庫に適したエアコンの特徴や、選ぶ際のポイント、注意点を解説し、おすすめの製品もあわせて紹介します。
倉庫の移転や新設、既存設備の入れ替えを検討されている企業のご担当者様はぜひご覧ください。
倉庫における温度管理の重要性

倉庫の温度管理は、従業員の働きやすさや健康維持に直結する重要な要素です。適切な温度が保たれていない環境では、集中力の低下や作業効率の悪化につながります。さらに、その環境での就業が長期化すれば、従業員の離職や体調不良のリスクを高めることにもなりかねません。
また、取り扱っている製品の質にも影響しかねません。夏の高温多湿な環境では、食品や薬品の成分の変質を招く恐れがあったり、精密機器の基板が劣化しやすくなるなどのリスクがあります。
一方で、冬場は夜間に冷え切った製品や精密機器の表面に、日中の温かい外気や暖房による空気が触れると表面結露が発生しやすくなります。結露は、金属部分のサビなどを招きやすくなるほか、外装に段ボールを使用している場合、段ボールが湿気を吸って強度が低下してしまうおそれがあります。
倉庫において、適切な温度管理をすることは、従業員が健康で効率的に働ける環境を整えるだけでなく、製品の質の低下を防ぐためにも欠かせない取り組みです。
倉庫ならではの課題
倉庫は一般的なオフィスや店舗と異なり、空調効率を低下させる構造上の課題がいくつか存在します。
屋根の熱伝導
一般的な倉庫は、金属をジグザグに折り曲げた「折半屋根」が主流になっています。強度の高さが特徴の折半屋根ですが、金属製のため、直射日光によって温度が最大70~80℃にまで達することがあると言われています。その熱が天井から放射されるため、室内温度が上昇しやすくなります。また、稼働する機械や照明からの排熱も、室温が高くなる要因のひとつです。
天井の高さ
暖かい空気は上へ、冷たい空気は下に溜まるという性質がありますが、天井が高い倉庫では、暖房を強めても熱が天井付近に溜まってしまい、作業エリアの足元まで十分に暖かさが行き届かないケースもあります。体が冷えると血流が悪くなり、免疫力が低下しやすくなるので、体調不良を起こしやすくなってしまいます。
広い空間
間仕切りのない広い空間では、一般的なエアコンの風だけでは隅々まで空気を循環させることが難しくなります。結果として、エアコンの近くでは冷えすぎたり暖まりすぎたりする一方で、離れた場所では効果が十分に行き届かない場合があります。
倉庫向けのエアコンの種類
ここでは倉庫向けのエアコンの種類とその特徴をご紹介します。
天井吊型
天井から吊り下げるタイプの天井吊型エアコンは、吹き出し口が広く、風を遠くまで届ける力に優れているため、倉庫のような天井が高く開放的な空間に適しています。配管経路の制約がある場合でも設置しやすい点も魅力で、エアコンの種類の中でも特に冷暖房能力が高いです。
ただし、倉庫内に支柱が多かったり、高い棚や大型の什器がある場合、それらが障害となり、風の流れに影響が出る場合がある点には注意が必要です。また、設置コストはやや高くなる傾向にあります。
壁掛型
一般的な家庭で使われている壁掛型エアコンは、手軽に導入できる点が大きなメリットです。設置コストを抑えやすく、工事期間も短くなりやすいので、移転時や新規開設時に迅速に導入したい場合に適しているでしょう。限られたスペースにも設置しやすいので、倉庫内の事務スペースや休憩室などの設置に向いています。
広い倉庫内全体の温度管理をするのには不向きなタイプで、温度ムラが発生しやすいというデメリットもあります。導入する場合にはサーキュレーターや補助的な空調設備の併用を検討する必要があるケースもあるでしょう。
床置型
床に置いて使用するタイプのエアコンで、床に設置するだけですので、設置やメンテナンス性に優れています。特に、冬場の足元の冷え(底冷え)を解消したい倉庫に適しているでしょう。床面に設置するためメンテナンスがしやすく、高所作業なしで導入できる点が魅力です。また、暖房時は暖かい空気を低い位置から送ることができるため、天井が高い倉庫でも効率よく足元を温められます。
ただし、床面の設置スペースが必要になるため、フォークリフトなどの動線や荷役作業の邪魔にならない場所を選定する必要があります。
移動式
「特定の場所だけを冷やしたい・温めたい」という場合に最適なのが移動式(スポットエアコン)です。
一般的に電源コンセントに接続して使用できるタイプが多く、キャスター付きで設置場所を移動できるタイプもあります。
特定のエリアのみを冷暖房したい場合や、固定式エアコンの設置が難しい場所での空調設備として活用されることがあります。広い倉庫内の一部で作業を行うケースでは、必要なエリアを限定して使用できる点が特徴です。
ただし、機種によっては廃熱ダクトの設置が必要とされる場合もあります。適切に処理を行わないと室内環境影響を与える可能性があります。導入にあたっては、使用環境や用途に応じた選定が重要です。
倉庫のエアコンを選ぶ際のポイント・注意点

ここからは、倉庫のエアコンを選ぶ際のポイント・注意点を解説します。
冷暖房能力
エアコンを選ぶ際にまず確認すべきなのが「冷暖房能力」です。能力が不足していると、夏場の高温や冬場の低温に対応できず、倉庫全体で快適な環境を維持できない可能性があります。
単に床面積だけで選んでしまうと、冷えないまたは温まらないといった失敗を招きかねません。熱を発する機械の稼働状況や、商品の出し入れ頻度(外気の流入量)を考慮し、条件に応じた適切な冷暖房能力を選定することが重要です。
一方で、必要以上に大きな能力の機器を選ぶと電力効率が下がり、ランニングコストの増加につながる点には注意が必要です。倉庫の広さ、設置している機器、取り扱っている製品などを踏まえた適正能力を見極めましょう。専門業者に相談することでより確実な選定が可能になります。
省エネ性
省エネ性は、倉庫のランニングコスト削減と環境負荷の軽減のどちらにおいても重要な要素です。特に倉庫では長時間にわたりエアコンを運転することが多いため、わずかな消費電力の差でも年間の光熱費に大きく影響します。高効率機器・モデルであれば、必要な冷暖房能力に応じて出力が細かく調整され、無駄なエネルギー消費を抑えながら快適な室内環境を維持できます。
また、人感センサーや日射センサーなどを搭載した機種であれば、作業人数や外気条件に応じて運転を自動で最適化され、省エネ効果が高まります。電力使用量を抑える取り組みは、コスト削減だけでなく企業の社会的責任でもあるため、積極的な導入と運用が求められます。
耐久性
耐久性も見逃せません。業務用エアコンの一般的な寿命は10~15年程度とされていますが、使用環境や綿タンス状況によって大きく前後します。倉庫では、取り扱う製品によって粉じんや油霧、湿気が発生する場合もあり、そのような環境では機器への負荷が高まる可能性があります。
そのため、設置場所の条件に応じて内部基板のコーティングや高性能フィルターなどを備えた高耐久モデルを検討する必要がある場合も考えられます。
メンテナンス性
カビ・ニオイの発生を防ぎながら衛生的な環境を維持するためには定期的なフィルター清掃が欠かせません。例えば、高所に設置する機種の場合、清掃作業が高所作業となることがあり、作業負担やメンテナンスコストなどの負担が大きくなる可能性があります。そのため、汚れが付着しにくい構造の製品を選定するほか、天井吊型エアコンではフィルターを自動昇降できるオートグリルパネルの導入を検討するなど、設置環境に応じたメンテナンス性の確認が大切です。
また、修理が必要になった際に迅速な対応が受けられるよう、メーカーの保守体制やアフターサポートの充実度も確認しておくと安心です。
その他
倉庫のエアコンは、取り扱う製品や保管物に合わせた温度・湿度管理が可能な機種を選ぶことも重要です。精密機器や電子部品などを取り扱っている場合、高温多湿の環境だと故障や劣化の原因となってしまいます。そのため、冷暖房能力だけでなく、湿度管理が可能な機種が求められます。
倉庫内の場所によって取り扱う製品が異なる場合には、ゾーンごとに空調を制御できるゾーン空調機能なども検討すると良いでしょう。
また、業務用エアコンの新設や既存設備の入れ替えには、補助金や助成金を利用できるケースがあります。省エネ設備への更新支援や、省エネルギー投資促進支援事業費補助金、自治体による補助金制度が設けられている場合があるので、申請条件などを確認し、対応できる機種を選ぶことで導入費用の軽減につながる可能性があります。
倉庫へのエアコン導入・入れ替えにかかる費用

倉庫のような広い空間で導入されるエアコンの設置費用の相場は以下の通りです。
| 能力(馬力) | 広さの目安 | 費用相場 |
| 5馬力 | 約30~50坪 | 50万円~70万円 |
| 8馬力 | 約50~75坪 | 80万円~120万円 |
| 10馬力 | 約70~100坪 | 100万円~150万円 |
倉庫にエアコンを設置する場合、本体価格に加えて、運搬費や配管工事費、電気工事費などが別途発生するケースがあります。既存設備からの入れ替えで配管をそのまま再利用できる場合は比較的安く済みますが、倉庫特有の環境によっては、以下のような追加費用が発生する場合があります。
配管の延長と冷媒ガスの追加充填
倉庫は一般的なオフィスと比べて、室内機から屋上や屋外の室外機までの距離が長くなりがちです。エアコンは配管内を流れる冷媒ガスによって熱を運びますが、標準的な配管の長さを超えて設置する場合、その長さに応じたガスの追加充填が必要になります。配管の延長工事費に加えて、充填する冷媒の量に応じたガス代と作業工賃が数万円単位で加算されることがあるため、事前の確認が重要です。
高所作業車の使用や足場の設置
一般的な倉庫の天井の高さは、5.5m~7m程度と言われています。設置位置によっては通常の脚立では対応が難しいことも考えられます。そのような場合には、安全確保の観点から高所作業車(リフト)や足場の設置が元られることがあります。これらを使用する場合、車両のレンタル料や搬入費などの費用が別途発生する可能性があり、工事期間が長くなるほど費用が加算される原因となります。
電気容量の確認と動力工事
業務用エアコンでは、三相200V(動力)電源に対応した機種が多く見られますが、機種によっては単相200Vを採用している場合もあります。そのため、導入にあたっては電源種別や契約電力が、設置予定の機種に適しているかを事前に確認することが重要です。
特に、古い倉庫や新設現場では、契約電力や配線容量が不足しているケースも考えられ、その際には電力会社との契約変更やブレーカーの増設、配線工事などが必要となることがあります。
倉庫にもおすすめの「エコウィンHYBRID」

倉庫における空調設備は、冷暖房能力だけでなく、省エネ性や耐久性、メンテナンス性を考慮する必要があります。そうした課題を解決できる空調システムが「エコウィンHYBRID」です。
ここでは、エコウィンHYBRIDの特徴と導入事例などを紹介します。
特徴・詳細
「輻射(放射)」という熱の伝わり方を利用して室内を冷暖房する方式です。輻射(ふくしゃ)とは、熱エネルギーが高温から低温へと直接移動する現象を指し、エコウィンHYBRIDはその原理を利用して効率的に冷暖房を行います。
輻射熱を利用して人の体、床、壁、天井などを直接冷やしたり温めたりするため、室内の温度分布が比較的均一になりやすいとされ、夏は木陰にいるような涼しさ、冬は陽だまりのようなあたたかさを感じることができます。それにより、エアコンの設定温度を低く、または高くしても快適さを維持しやすくなります。
一般的に、エアコンは設定温度と外気温の差が小さいほど消費電力を抑えやすいとされているため、省エネルギーにつながる可能性も高くなります。また、大規模なスペースにも対応できるので、広い倉庫でも安定した温度管理が可能です。
エコウィンにはファンなどの駆動部分がないので、定期的なメンテナンスがほとんど不要な点も特徴です。接続しているエアコン本体は通常通りのメンテナンスが必要ですが、輻射を活用することで送風量を抑えた運転が可能となる場合があります。その結果、フィルターへの負担が軽減される可能性もあり、従来の空調システムと比べてメンテナンスの負担、費用が軽減されるでしょう。
導入事例
エコウィンHYBRIDは現在、様々な施設で採用されています。倉庫と同様の大規模な空間である、体育館やホテルロビーなどでも導入されており、輻射式の特性を活かした空調環境づくりが行なわれています
また、オフィスや飲食店のような居心地が重要視される施設から、保育園や介護施設といった比較的自力で体温調節することが難しい子供や高齢者の方が長時間滞在する場所、さらには役所や集会所といった公共施設にも導入されています。
具体的な活用シーンや設置例を知りたい場合は、以下のページをご覧ください。
倉庫に適したエアコンをお探しなら
倉庫における適切なエアコンの設置・使用は、従業員の快適性や生産性を高め、体調不良を防ぐためにも重要なことです。さらに、取り扱っている製品や作業内容によっては、温度管理だけでなく、湿度管理も求められます。
適切な冷暖房能力に加えて、省エネ性や耐久性、メンテナンス性などを総合的に判断し、導入することで、従業員の働きやすさやコスト削減を実現することができるでしょう。
輻射式冷暖房システム「エコウィンHYBRID」のような、快適性と省エネ性を高いレベルで両立できる設備を導入すれば、理想的な環境を実現することができるでしょう。ぜひ本記事を参考にして、快適な環境を実現してみてください。