地球温暖化対策や脱炭素社会への移行が進む中、私たちの日常生活においても「環境に優しい選択」が求められています。特にエネルギー消費が大きい空調設備は、CO₂排出量に直結するため、賢い使い方や適切な機器・設備の導入が必要です。
この記事では、カーボンニュートラルの概要をはじめ、環境に優しいエアコンの使い方、おすすめの設備として「エコウィンHYBRID」を紹介します。
環境に優しいエアコンの使い方を知りたい方や、カーボンニュートラルに関心がある方はぜひご覧ください。
カーボンニュートラルとは?
地球温暖化の主な原因とされる二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスの「排出量」と「吸収量」を実質的にゼロにすることを指します。つまり、企業や家庭などが日常生活や生産活動で排出するCO₂を、森林による吸収や再生可能エネルギーの活用などによって相殺し、全体として大気中のCO₂を増やさない状態を目指す取り組みです。
近年では、単に排出を減らすだけでなく、再生可能エネルギーの導入拡大やカーボンオフセット、カーボンリサイクルなど、持続可能な社会を実現するための多角的なアプローチが進められています。また、製造業や物流業といった産業分野だけでなく、家庭や地域レベルでも省エネ行動が重要視されています。
政府や企業が掲げる「2050年カーボンニュートラル宣言」にも示されているように、社会全体での脱炭素化は今後の大きな課題です。エネルギーの使い方を見直し、再利用やリサイクルを意識するなど、私たち一人ひとりの意識と行動の変化が、未来の地球環境を守る大きな力となっていきます。
2050年カーボンニュートラル宣言
2020年10月に菅義偉首相(当時)が所信表明演説で発表したもので、日本が2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指す国家目標です。2021年4月には、2030年度までに2013年度比で46%削減、さらには50%削減を視野に入れて取り組みを続けることが表明されました。
日本の温室効果ガスの約9割を占めるCO₂排出のうち、約4割は電力部門、残りは産業や運輸、家庭など非電力部門から排出されています。電力部門では、火力発電の削減と再生可能エネルギーの主力化が急務であり、水素・アンモニア利用やCCUS技術の導入が進められています。
一方、非電力部門では製造プロセスでのCO₂排出削減が課題であり、水素還元製鉄やカーボンリサイクルなどの技術革新が求められています。
それらの取り組みを後押しするため、政府は「グリーン成長戦略」を策定し、エネルギー転換や技術開発を通じて経済成長と脱炭素化の両立を目指しています。
参考:2050年カーボンニュートラルに向けた我が国の課題と取組
求められる背景
カーボンニュートラルが求められる背景には、地球温暖化による深刻な環境問題の進行があります。世界各地で気温上昇や異常気象が頻発し、豪雨や干ばつ、森林火災などの被害が拡大しています。それらは人間の経済活動によるCO₂排出量の増加が主な原因とされ、早急な対策が必要とされています。
さらに、海面上昇による沿岸地域の浸水や生態系の崩壊、食糧生産への影響など、地球規模での課題も顕在化しています。それらの問題を放置すれば、経済や社会の持続的発展が困難になると懸念されており、政府・企業・個人が一体となって取り組む必要があります。
また近年においては、ESG投資(環境・社会・ガバナンス)やSDGsなど、環境配慮を重視する企業が評価される時代となっており、そうした潮流の中で、カーボンニュートラルの実現は地球環境を守るだけでなく、企業価値や社会的信頼を高めるためにも欠かせないテーマになっているのです。
取り組み例
企業・自治体・個人の各レベルで、カーボンニュートラルに向けた取り組みが加速しています。企業では、再生可能エネルギー(太陽光・風力・地熱など)を活用した電力の利用拡大や、自社施設・オフィスの省エネ化を進める動きが一般的です。製造業を中心に、CO₂排出量削減のための高効率設備の導入や、生産工程の最適化、物流ルートの見直しなども進められています。また、カーボンオフセット(植林や再エネ投資などによって排出量を相殺する仕組み)を積極的に取り入れる企業も増えています。
自治体では、地域エネルギーの地産地消モデルの構築や、公共施設への太陽光パネル設置、EVバス導入などが行われています。
さらに、個人での節電・省エネ家電の利用・電気自動車(EV)の導入といった日常的な行動も、持続可能な社会への貢献につながります。近年では、空調分野でも省エネと快適性を両立できる機器・設備が登場しており、環境負荷を抑えながら快適な生活空間の実現が可能になっています。
エアコンが環境に与える影響
エアコンは現代の生活に欠かせない設備ですが、その一方で環境への負荷も大きい家電の一つです。主な要因は、電力消費と冷媒ガスの排出です。エアコンの稼働には大量の電力が必要で、その多くが火力発電によって賄われているため、結果的に二酸化炭素(CO₂)の排出につながります。特に夏や冬など使用頻度が高まる時期には、電力需要の増加により発電所からのCO₂排出量が急増します。
また、冷媒として使用されるフロンガスも環境問題の一因です。フロンはCO₂よりも温室効果が高く、大気中に放出されると地球温暖化を進行させるおそれがあります。適切な管理が行われないと、冷媒ガス漏れによって環境負荷が増すことになるのです。
環境に優しいエアコンの使い方

ここからは、環境に優しいエアコンの使い方を解説します。
ポイントとして挙げられるのは「クールシェア」「適切な温度設定」「定期的な清掃・メンテナンス」「扇風機・サーキュレーターの併用」「室外機カバー・日よけの設置」「省エネ製品・設備の活用」などです。
クールシェア
クールシェアとは、家庭や地域全体で冷房の使用を共有し、電力消費を抑える取り組みのことです。例えば、家族がそれぞれの部屋でエアコンを使うのではなく、リビングに集まって1台のエアコンのみ使用して過ごすことで、使用電力量を削減できます。
また、図書館やショッピングモール、カフェなどの冷房の効いた公共施設で過ごすのも効果的です。それにより、各家庭のエアコンの稼働を減らすことにつながります。
クールシェアは単なる節電ではなく、地域全体でエネルギーを賢く使うライフスタイルです。家庭の光熱費削減に加え、温室効果ガスの排出抑制にもつながるため、広がりを見せています。
適切な温度設定
環境に優しいエアコンの使い方の基本は、適切な温度設定を心がけることです。冷房時は28℃、暖房時は20℃を目安に設定することで、快適さを保ちながら無駄な電力消費を抑えられます。1°C設定を変えるだけでも、消費電力は約10%前後変化するといわれており、結果的にCO₂排出量の削減にもつながります。
室温を一定に保つためには、外気の影響を受けにくくする工夫も大切です。カーテンや断熱シートなどの活用で窓からの熱の出入りを抑えられます。また、風量を「自動」に設定すれば、必要以上に稼働しなくなるため、エネルギーの無駄を省けます。
定期的な清掃・メンテナンス
定期的な清掃とメンテナンスも重要なことです。フィルターにホコリや汚れがたまると、空気の流れが悪くなり、冷暖房効率が低下します。その結果、余分な電力を消費してCO₂排出量が増えるだけでなく、電気代の上昇にもつながります。
家庭でできるお手入れとしては、2週間に1度を目安にフィルターを掃除することです。さらに、内部の熱交換器やファン部分はカビやホコリが蓄積しやすいため、年に1回程度は専門業者によるクリーニングを実施したほうが良いでしょう。
また、室外機周辺の通気を妨げる障害物を取り除くことも重要です。通気口がふさがれると効率が悪くなり、余計なエネルギーを使ってしまいます。定期的な点検と清掃を習慣化することで、エアコンの性能を維持しながら、省エネと環境負荷の低減を実現できます。
扇風機・サーキュレーターの併用
エアコンと扇風機やサーキュレーターを併用することで、室内の空気を効率良く循環させることができるため、消費電力を抑えながら快適な環境を保つことができます。冷房時は冷たい空気が床付近にたまりやすく、暖房時は暖かい空気が天井に上がりやすいため、空気の層ができてしまいます。
扇風機やサーキュレーターを使って空気を撹拌することで、温度のムラが解消されるため、設定温度を1〜2℃控えめにしても十分な快適さを得られるのです。
また、風を直接体に当てるのではなく、壁や天井に向けて風を循環させるのが効果的です。冷房時は上向きに、暖房時は下向きに風を送ると空気が均等に広がります。さらに、部屋の広さや家具の配置に合わせて風向きを調整すれば、より効率的に温度調整ができます。
室外機カバー・日よけの設置
エアコンの効率を高め、消費電力を抑えるために、室外機周辺の環境を整えることも重要です。特に夏場は、直射日光によって室外機の温度が上昇し、冷却効率が低下して余計な電力を消費しがちです。それを防ぐために有効なのが、日よけやカバーの設置です。
市販の専用カバーやすだれを利用して直射日光を遮ることで、室外機内部の温度上昇を抑え、冷房効率を改善できる場合があります。ただし、通風を妨げないように設置することがポイントで、吹き出し口や背面をふさがないよう注意が必要です。また、周囲に雑草やゴミが溜まると放熱効果が下がるため、定期的に掃除を行うのも大切なことです。
省エネ製品・設備の活用
省エネ性能の高い製品や設備を導入するのもポイントです。エアコンをはじめとする家庭用電化製品は、最新モデルほどエネルギー効率が向上しており、同じ快適さを維持しながら電力使用量を削減できることがあります。購入時には、省エネラベルの「星の数」を確認し、消費電力量が少ない機種を選ぶのがポイントです。
さらに、太陽光発電や蓄電池などの再生可能エネルギー設備を導入すれば、家庭全体の電力消費を最適化でき、カーボンニュートラルの実現にも貢献できます。
カーボンニュートラルに貢献する「エコウィンHYBRID」

カーボンニュートラルの実現に貢献できるエアコン機器・設備の導入をお考えであれば「エコウィンHYBRID」がおすすめです。
エコウィンHYBRIDの仕組みや特徴、製品情報、導入事例などを紹介します。
エコウィンHYBRIDとは?
「エコウィン」と「エアコン」を融合させた輻射空調システムがエコウィンHYBRIDです。エコウィンは、独自に開発されたアルミ製サーモエレメント(放熱フィン管)の内部に冷水または温水を循環させ、そこから発生する遠赤外線の放射・吸熱作用によって空間全体を均一に冷却・加熱する仕組みです。
輻射の原理を応用し、風を使わず空気を直接動かないため、ほこりの舞い上がりや乾燥が少なく、静かで快適な室内環境を保てるのが特徴です。輻射とは、温度の高い場所から低い場所へ赤外線によって直接熱が伝わる仕組みで、冬の日なたの暖かさや、夏の日陰やトンネル内の涼しさなどがその代表例です。
エアコンを微風運転させるだけで室内空気の循環を促進し、温度ムラを防ぎながら快適な体感温度を維持できます。そのため、設定温度を変えずに2~4℃の体感温度変化を実現でき、夏は少し高め、冬は少し低めの設定でも快適さを保つことが可能です。
既存空調設備との併用・後付け設置にも対応しており、広い空間や吹き抜けのある施設でも温度を均一に保てます。高い耐久性を備え、長期間にわたって安定した省エネ効果を得られる点も大きな魅力です。
製品情報
スクリーンタイプ、ウォールタイプ、ローボーイタイプの3つがあり、設置環境や空間の広さに合わせて選べます。いずれも住宅から商業施設、学校、公共施設まで幅広く対応可能です。
SCREEN(スクリーンタイプ)
高さ約2350mmの縦型設計で、約24畳までの広い空間に対応。輻射熱を効率的に拡散できるため、吹き抜けや大型店舗などにも最適です。重量は約40kgで、カラーはホワイトとダークブロンズの2色。デザインパネルやアルミフレーム枠、ドレンポンプなどのオプションも用意されています。
WALL(ウォールタイプ)
高さ1250mm・重量約30kgとコンパクトな壁面設置モデルで、約12畳程度の空間に最適。限られたスペースでも導入しやすく、マンションやオフィスにも好適です。ホワイトとダークブロンズの2色から選べ、オプションもあります。
LOWBOY(ローボーイタイプ)
窓下や低所に設置できる低重心デザインが特徴。Sサイズ(約12畳対応)とLサイズ(約20畳対応)があります。重量はSが約23.5kg、Lが約34kgで、カラーはホワイト・ブラック・ステンレスの3色で、デザイン性と機能性を両立したモデルです。
導入事例
快適性と省エネ性能の高さから、様々な業種・施設で導入が進んでいます。 一般住宅をはじめ、保育園・介護施設などの福祉施設、オフィスや役所・集会所といった公共施設、さらにホテルや体育館、大型商業施設などの広い空間でも活用されています。
風をほとんど感じさせないため、乳幼児や高齢者がいる環境でも安心して使用でき、静音性も高く評価されています。
快適な空間づくりとエネルギー効率の向上を同時に実現したい施設・店舗には、「エコウィン」の導入が効果的です。
以下は、導入事例の一部です。
会津三菱自動車販売様

群馬県 千代田町総合保健福祉センター様

千葉県柏市立豊四季保育園様

特別養護老人ホーム マザーズガーデン様

カーボンニュートラルを実現するためには
今回はカーボンニュートラルの詳細や、環境に優しいエアコンの使い方を解説し、おすすめ設備として「エコウィンHYBRID」を紹介しました。
カーボンニュートラルの実現に向けて、私たち一人ひとりができることは多くあります。中でも、日常的に使用するエアコンの使い方を工夫することは、環境への負担を減らす第一歩です。適切な温度設定や定期的なメンテナンス、扇風機やサーキュレーターとの併用などを行うことで、省エネ効果を高め、快適さを保ちながらCO₂排出量を抑えることができます。
また、次世代型冷暖房システム「エコウィンHYBRID」を導入すれば、環境にも人にも優しい空間づくりが可能です。効率的で静か、そして快適な環境を実現できる「エコウィンHYBRID」に興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。